『こどものツボ』 IV.陰部・尿の病気
鼠径(そけい)ヘルニア
どんな病気?
赤ちゃんの太もものつけ根(鼠径部)のところに腹膜鞘状突起という袋があり、おなかの
中とつながっていることがあります。この袋の中に、腸の一部や卵巣が飛びだして、太もも
のつけ根がふくらんでみえる病気を鼠径ヘルニアといいます。
このふくらみはふつう、おなかに力をいれて泣いたり怒ったりすると目立ち、静かにして
いたり軽く押し込むとひっ込む、というようにでたり消えたりします。
鼠径ヘルニアは、でたり消えたりしている間は痛みもなく、問題はありません。しかし、
ふくらみが固い、押してももどらない、さわると激しく泣く、顔色が悪い、吐くといった症
状がみられる場合は、嵌頓(かんとん)ヘルニアを起こしている可能性があります。
嵌頓ヘルニアとは、飛びだした腸が根元を締めつけられて元にもどれなくなり、腸閉塞の
状態になってしまうことで、非常に危険な状態です。
治療
鼠径ヘルニアは1歳頃までに自然に治ることもありますが、多くの場合、手術が必要です。 また、嵌頓ヘルニアの場合は、手で元にもどすか、もどらない時には緊急手術になること があります。
家庭での看護
鼠径ヘルニアがでたり消えたりしている間は心配ありません。 赤ちゃんの具合が悪く、原因がはっきりしない時には、嵌頓ヘルニアが原因になっていな いかに注意をし、疑いがあればすぐに病院を受診しなければなりません。