こどもの病気

こどものツボ2

病原性大腸菌感染症

大腸菌は、人の腸の中に数多く存在しています。ほとんどが無害ですが、中には下痢などの腸炎を起こすものがあります。
これらの一部の大腸菌が、病原性大腸菌と呼ばれており、食中毒の原因菌の第2位に上がります。
病原性大腸菌は、次の4つに分類されています。

 
潜伏期間
症  状
特  徴
病原血清型大腸菌
12〜72時間 水溶性の下痢、発熱、倦怠感、嘔吐 サルモネラによる食中毒とよく似た症状ですが、軽症です。
毒素原性大腸菌
12〜72時間 腹痛と水溶性の激しい下痢 エンテロトキシンという毒素により、コレラに似た症状を起こします。
組織侵入性大腸菌
1〜5日 水溶性の下痢、腹痛、発熱
(赤痢より軽症)
腸の粘膜を壊して増え、赤痢と同じような症状を起こします。人から人への感染もあります。
腸管出血性大腸菌
(O157が主、
O26、O111、
O128なども多い)
4〜8日 鮮血を伴う大量の下痢と激しい腹痛 ベロ毒素を出します。
大腸の壁が壊されることで大量の血便を起こします。この毒素が、全身に回り腎臓、肝臓や脳の血管を傷めてしまいます。そのため、大きな後遺症を残したり、中には死亡したりすることもあります。(溶血性尿毒症症候群、脳症など)
小さなお子さんやお年寄りは、注意が必要です。

感染経路

感染源になるのは、家畜(牛や羊など)のフン。
きちんと処理がされていない食肉や、牛乳などの乳製品の飲食、清潔でない調理器具などで調理することで感染します。

治療

薬…症状によって、抗生物質が使うことがあります。(初期の段階では有効)
    菌や毒素を体の外に出してしまう為に、下痢止めは使いません。
    腹痛止めも、腸の動きを止めてしまうため使わない方が良いです。
    主には、水分を十分に補給すること。(お茶、イオン飲料など)
    水分がとれない場合は、輸液が必要です。
食事の制限…下痢が軽減してきたら、少量の重湯などからはじめます。

予防策

@気温の高い時期は生ものを控えましょう。
A新鮮な食材を使いましょう。
B加熱を十分にしましょう。
 食品の中央まで熱が通るようにします。(75℃以上で1分以上加熱)
C調理したものは早めに食べましょう。
  冷蔵庫も過信せず、時間が経つと細菌も増殖しやすくなります。

片山こどもクリニック