こどものツボ2
無害性心雑音《機能性心雑音》
小児では、学校の健診や風邪などで診察を受けた時に、これまで一度も指摘されたことが無いのに、心臓に雑音があるといわれることがめずらしくありません。
心臓に雑音があるからといって、必ずしも悲観的になる必要はありません。
心臓の雑音には、何らかの病気があって聴かれる雑音(器質性心雑音)以外に、病気が全くなくても聴かれる雑音(無害性心雑音、機能性心雑音)があるのです。
子供の場合、器質性心雑音のほとんどは生まれつきの心臓病によるもので、これらでは左右の心室や心房の中隔の欠損(心室中隔欠損症、心房中隔欠損症)や、血管の狭窄(肺動脈狭窄症など)、弁の異常などによって、血液の流れに渦ができるために聴かれるのです。
無害性心雑音は、小児から思春期にかけて胸の左上方で聴かれ、肺動脈弁が 音源と考えられています。
右心室から肺動脈に血液が流れるときに、肺動脈の壁が振動し、聴かれるといわれています。
音の大きさは、どの医師が聴いてもそれと判る大きさのものから、かすかに聴こえるかなと思われる大きさのものまで、様々ですが、音質が特徴的で、ビュンビュンと弦をはじいたようなソフトな音で、耳に心地よいのが特徴です。
なれた医師であれば、聴診するだけで見当がつきます。
したがって、外来の診察の時などでは、お母さん方に無駄な心配をかけたくないとの理由から、お知らせしないことも少なくありません。無害性心雑音は、名前のとおり全く問題がなく、放置してよい心雑音です。
子どもに多く聴かれる理由は、心臓の動きが活発なため、血液が血管に勢いよく押し出されることと、胸壁が薄いことが、関係していると言われています。
健診では3人に1人ぐらい聴かれますが、熱などがあり、心拍が早い時には大きく聴こえ、また運動や体位によっても変動します。いずれにせよ、成長するにつれてだんだん小さくなるか、消えていく雑音なのです。
集団健診で心雑音を指摘された場合は、元気でも、もう一度かかりつけの小児科を受診し、無害性心雑音なのか、病的な心雑音なのかを区別してもらい、場合によっては、
心電図やレントゲン、心エコーなどの検査を受けます。
なお、かかりつけ医を改めて受診する必要があるのは、時間をかけて聴診しないと、心房中隔欠損症の心雑音との区別が難しい場合があるからです。
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