食中毒 

冬の食中毒

毎年冬になると、急におなかが痛くなったり、吐いたり、下痢をしたりする急性胃腸炎いわゆる「胃腸カゼ」がはやり始めます。 その多くは、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルスが原因です。 これらの症状が急に始まるために、「食中毒ではないか」という質問がよくあります。 たしかに家族の何人かが同時に同じ症状をうったえることがよくありますし、胃腸カゼの原因のウイルスが食中毒の原因になる場合もありますので、ふつうの胃腸カゼと食中毒の区別がたいへん難しいことがあります。 ある年の末、胃腸カゼの症状をうったえる患者さんがふだんよりやけに多い日がありました。みんなひどく吐いたり下痢をしたりしてぐったりしていたので、次々と点滴が必要になりました。 すると点滴を受けている部屋で「あら、あなたも?」「えー。私もよ」という声が次々に起こり、話をきくと、みんな1日前のクリスマス会で一緒に食事をした顔見知りの人たちでした。後から保健所の人もみえて調査したところ、クリスマス会に使った仕出しの料理が原因の食中毒で、ノロウイルスというよく胃腸カゼの原因になるウイルスが食べ物の中に入り込んで起きたものでした。 細菌による食中毒も夏に限るものではなく、近年は寒い冬にもたくさん起こるようになってきました。 それはいろいろな食物が輸入されるようになったこと、暖房による部屋の温度の上昇、 冷凍食品の普及などによります。 みなさん、食べ物の調理にはくれぐれも注意しましょう。