こどものツボ2
ビタミンK 欠乏症
ビタミンK は、血液が固まる働きに必要な、プロトロンビンという物質が肝臓でつくられ るときに必要なビタミンで、緑黄色野菜や腸の中の細菌の合成によって保たれています。 したがって出血したときに血液を止めたり、血管の中で血液が固まらないようにしたりす ることに関係しています。
新生児<メレナ症状>
生後1〜3日以内、遅い場合でも1週間以内に、血を吐いたり、血便または血液の混ざっ たタール状の便が出るなどの症状で気づきます。
原因
血液を固める作用を持つ成分を造るときに必要なビタミンK が不足するため、血液が固ま りにくく出血しやすくなります。 新生児の場合、お母さんのビタミンK 不足、または何らかの原因でおなかにいるときに赤 ちゃんにビタミンK が行き届かなかったりしたためや、腸の中の細菌(腸内細菌)が生ま れたすぐはまだ働かない為、生成されるはずのビタミンK がつくられない為に起こります。 人工栄養のミルクは製造の段階で、予めビタミンK が添加されているので、不足は起きに くく、母乳のみの赤ちゃんに起こる割合が高いです。
予防
ほとんどの産科で、入院中と1ヶ月健診の時にビタミンK 剤を飲ませます。ほんの少量飲
ませるだけで、副作用の心配もありません。もし1ヶ月健診を、小児科で受けるときビタ
ミンK 剤を飲ませてもらえなかったら、飲ませてもらえるように頼みましょう。
*大部分は消化管からの出血ですが、まれに頭の中に出血することもあり致命的な結果
になったり、重い後遺症を残すこともあります。
乳児ビタミンK 欠乏症症状
生後2週間から2ヶ月の間に起こります。この乳児ビタミンK 欠乏症は、新生児メレナと 違いほとんどが頭の中で出血を起こす頭蓋内出血を起こします。 頭蓋内出血を起こすと、機嫌が悪い、吐く、大泉門が張るなどの症状が出て、ひどいと痙 攣を起こしたり、意識がなくなったりします。
原因
長い間の下痢、長く抗生物質を投与することによって腸の中の細菌の集団が変化すると、 ビタミンK の合成や吸収が妨げられることがあったり、そのほかにも明らかに原因のわか るものを持発性乳児ビタミンK 欠乏症といいます。しかし、この病気の80%は原因のわ からない突発性乳児ビタミンK 欠乏症です。 ビタミンK がなぜ欠乏するのかはよくわかっていませんが、この病気の9割が母乳で育て ている乳児に起こっています。ですからお母さんが緑黄色野菜や納豆などビタミンK が多 く含まれているものをとれば、母乳内にもビタミンK が多くなると思われますがわかって いない事も多く、それだけでビタミンK の欠乏を防げるとはいえません。
予後
頭蓋内出血を起こした赤ちゃんの約1/4は後遺症もなく治りますが、1/4は死亡、5割は 脳性麻痺、痙攣、知恵遅れなどの障害を残します。
予防
この病気は症状が出てからでは、すでに頭の中で出血が起こっているので障害を残す可能 性があります。そして、頭蓋内出血を起こす前に見つけるのは大変難しいことです。です からまず予防のためにビタミンK の服用が大切です。産科での入院中に1回、1ヶ月健診 のときに1回、必ずビタミンK 剤を飲ませるようにしましょう。