■ 上皮真珠・魔歯(先天性歯)



上皮真珠

新生児や生後数ヶ月の乳児の歯肉に、白色や黄白色の小腫瘤を上皮真珠といいます。
腫瘤の大きさは様々で、1個の場合もあれば複数並んで見られることもあります。
上皮真珠は、歯の発育過程で組織に一部が吸収されずに残遺し、変化して角化したものです。
前歯部、臼歯部に発現するのですが、とくに上顎前歯部に好発します。
発現部位によってエプスタイン真珠、ボーンズ結節、歯堤嚢胞に分類されます。
エプスタイン真珠は、両側の口蓋突起が融合するときに融合部の上皮が吸収さらずに中胚葉組織の中に残留して、退行変化をきたしたものです。また、ボーンズ結節は粘膜腺組織の残存が関与しているといわれています。
発生頻度は、胎生期には100%で、新生児には80〜85%にみられるといわれ、男女差はほとんどありません。
乳歯が萌出するころまでには自然に消失し、また小嚢胞は破れて自然に治癒するため、一般的には特に治療を必要としません。したがって予後はきわめて良好です。

魔歯(先天性歯)

出生時にすでに歯が生えているものを魔歯(先天性歯)といい、生後2か月以内に生えるものも含めます。
魔歯は白くきれいな歯ではないことが多く、表面のエナメル質が薄くもろい性質をもっており、歯の付け根ももろく、自然に抜けることが多いようです。
授乳の障害になったり、舌の下に当たることで傷ついたり、潰瘍(リガ・フェーデ病)を作る原因になることもあるため、歯の先端を丸めますが、場合によっては抜歯することもあります。抜けた場合には、その乳歯は生えてきませんが永久歯は生えてきます。
リガ・フェーデ病とは、慢性刺激口腔潰瘍の一つで下顎切歯部の尖った切縁で舌小帯や舌尖部が外傷を受け、種々の大きさの潰瘍を生じたものと舌下部の肉芽腫、線維腫が下顎切縁で擦傷を受けて潰瘍を生じたものなどがあります。