■ 自己炎症性疾患(周期性発熱症候群)



体の中で炎症が起きると発熱などの症状がでます。炎症が起きる原因は、さまざまありま
すが、子どもでは、ウイルスや細菌などの感染症によるものが多く、それ以外には、稀です
が癌や白血病などの血液腫瘍の病気、膠原病といわれる自分の体を攻撃してしまう自己免
疫性疾患などがあります。もうひとつ、体の中で炎症のスイッチが入って熱がでてしまう自 己炎症性疾患と呼ばれる病気があります。周期的に発熱を繰り返すのが特徴です。

典型的には、乳幼児期に繰り返す発熱のエピソードが始まり、年単位で続きます。3-7 日 間、38-40 度の発熱を 4-6 週間おきに起こすことが多いです。熱が出ている間、口内炎、の どに白苔といって白いものがついたり、首のリンパ節が腫れたりすることがあります。採血 をすると炎症反応といわれる白血球、CRP などが高く、細菌感染症として、外来や入院で 抗菌薬によって治療されることがありますが、これらの抗菌薬は効かないことが多いです。 熱が比較的、決まったように周期的に繰り返すのが特徴で、半年のうちに 4-6 回、似たよう な発熱のエピソードがある場合には疑います。発熱が出ている間に、いわゆる風邪の咳、鼻 水などの症状がないことが多いです。

診断は、詳しく症状を聴くことと、診察で身体に他の原因となるものがないこと、免疫な
どに異常がないかをみる血液検査などを行います。いくつかの原因となる遺伝子が知られ ており、必要に応じて遺伝子検査を行うこともあります。

治療は、まずは飲み薬で発熱を抑えることを行います。また発熱が出ている間は、解熱剤
(アセトアミノフェン、イブプロフェン)で熱のコントロールを行い、園や学校に通えるよ
うにします。またステロイドというお薬を飲むと熱がすぐに下がることがあり、学校や家族
の大事な行事があるときなどに使用することもあります。熱の原因が感染症ではないため、
周りにうつす心配がなく、解熱剤で本人の調子が良ければ、必ずしも園や学校を休む必要は
ありません。小学校にあがっても続く場合は、扁桃腺の手術をすると良くなることがあり、 治療選択枝の一つです。

熱が出ること以外には、小児期に身体の臓器などが悪くなることは少なく、成長にともな って自然に熱を出さなくなってくることが多いです。

東京都立小児総合医療センター 感染症科 2015.06