■ 小児周期性症候群





小児周期性症候群は国際頭痛分類第2版では片頭痛に分類されています。小児周期性症候群には、周期性嘔吐症、腹部片頭痛、小児良性発作性めまいが含まれます。



周期性嘔吐症の頻度は白人で2%との報告があり、日本での報告も多い疾患です。腹部片頭痛は海外ではありふれた疾患とされていて、有病率は1〜4%との報告もあります。小児良性発作性めまいは海外の報告によると学童での有病率は2.6%です。



しかし、腹部片頭痛も小児良性発作性めまいも日本での発症の報告は少ないです。それは、これらの概念がまだ普及しておらず、適切に診療されていない場合があると考えられています。



周期性嘔吐症

嘔吐と激しい吐き気からなる発作を繰り返す病気です。発作の時の子どもは顔面蒼白となり、眠りに陥る傾向がみられます。発作が起こっていない時には、症状は完全になくなります。様々な研究から、周期性嘔吐症は片頭痛に関連した疾患であることが示唆されています。



腹部片頭痛

主として小児に認められます。発作は繰り返して起こります。1?72時間持続する発作性の腹部正中部の痛みを繰り返す原因不明の病気で、発作のない時には異常がみられません。腹痛は強い痛みで、吐き気や嘔吐をともないます。小児の場合、食欲不振として症状が見られることもあります。腹部片頭痛を有する大部分の小児は、後になって片頭痛を発症するといわれています。



小児良性発作性めまい

前触れなしに起こり自然に軽減する比較的短時間の回転性めまい発作を繰り返します。それ以外には脳波や聴力検査などを含めて健康上問題がないことが特徴です。



片頭痛への移行に注意

周期性嘔吐症は予後良好の疾患といわれていて、発症後数年で自然治癒することが多いです。吐き気や嘔吐などの発作の頻度は、年齢が上がるにつれて減少していくといわれています。注意すべきは、片頭痛への移行です。周期性嘔吐症の発症中は頭痛が認められなかったにもかかわらず、後年片頭痛を発症することもあります。また、腹部片頭痛の片頭痛への移行頻度は周期性嘔吐症よりも高いといわれています。



将来どうなるの? 片頭痛の子どもの予後について

片頭痛になったお子さんをお持ちの方は、将来どうなるかについてご心配の方も多いでしょう。片頭痛になった子どもが将来どうなるかの研究結果をご紹介します。



子どもは成長につれて片頭痛を克服する

これまで片頭痛は体質による頭痛であり、一生にわたって発作性頭痛が続くという考え方が一般的でした。小児の場合、片頭痛の症状は徐々に変化して20才前後までに、成人のパターンになるとされています。ところが、イタリアのパレルモ大学のRosolino Camarda博士は、研究の結果、約60%の片頭痛の子どもと青年は10年後の受診時には治癒していると報告しています。



家族歴のある場合と前兆のある片頭痛では予後は良くない

片頭痛の家族歴がある子どもでは予後は優れないといわれ、10年後の診察時に片頭痛があるリスクは7倍であったと報告されています。また、前兆のない片頭痛がある子どもは前兆がある小児と比べて10年後の受診時に片頭痛があるリスクは5倍と高い結果でした。片頭痛の子どもの予後に影響を与えるのは、不安が強いかどうかであるといった報告や、早期に発症した子どもでは予後がよくないという報告もあります。



年齢による片頭痛が変わる?

年齢があがれば視覚性の前兆が増え、片側性の片頭痛が多くなり、吐き気や嘔吐の症状が減少することが報告されています。



視覚性前兆  7歳 19% → 14歳 38%

片側性頭痛  7歳 44% → 14歳 71%

吐き気、嘔吐 7歳 81% → 14歳 40%



子どもの片頭痛は成人になっても続くと考えられていましたが、大人になる前に治るという報告も増えて来ています。また、片頭痛は知能などの発達には影響を与えないということが明らかになっています。適切な治療を行えば、治る可能性もある病気であり、子どもの発達への影響はないので、不安になり過ぎないで、ゆっくり様子をみながら、治療していきましょう。



頭痛持ちの子が学校に配慮してもらうために

慢性頭痛、ストレス性頭痛など、頭痛持ちの子は学校生活を送るのが大変なときもあります。



片頭痛と成績の関係

2012年にアメリカの神経学会が発表したところによると、片頭痛の子はそうでない子に比べて平均的に成績が悪いということが分かったそうです。



ブラジルで行われた研究をもとにした発表ですが、慢性的な片頭痛持ちの子は37%が教師によって平均以下の成績と判断されたのに対して、頭痛のない子では23%でしあた。



慢性的な片頭痛持ちの子の方が14ポイントも多く平均的な成績低下がみられました。片頭痛による欠席、早退などで授業についていけないことも原因のひとつとみられています。



頭痛持ちの子への配慮

頭痛持ちの子には配慮が必要です。まずは親の配慮です。



しきりに起きる頭痛に対して『実は勉強が嫌で演技をしているのではないか』と疑ってしまう親御さんもいますが、そういわれると子どもは頭痛を表現できなくなります。



病院で診断を受けたのなら、演技とは思わず優しく対処してあげることが大切です。



次に学校への配慮をお願いしてください。保健室の先生、担任の先生などに我が子が頭痛持ちであるということを伝え、症状が出た時にどうすればよいかも伝えてください。



片頭痛なら冷やした方がよいですし、緊張性頭痛なら温めた方がよいです。その子がどのような頭痛なのか、どのようにすれば早く回復するかについては親御さんの方が詳しいはずです。



対処法を先生に伝えて、少しでも学校生活を送りやすくしてあげてください。



子供の片頭痛の一種!自家中毒にかかりやすい子って?

自家中毒は症状が頭に出ないタイプの片頭痛です。頭痛という名前ではあっても、例外的に自家中毒は片頭痛とされており、その症状は主に腹部に出ることで知られています。

自家中毒にかかりやすいのはどんな子なのかを見ていきましょう。



2-10歳、痩せ型の子に多い

自家中毒は大人になると自然消滅することが多い病気とも言われています。

一般的に自家中毒になりやすいとされているのは2-10歳の痩せ型の子で、男女比率ではどちらかといえば男子の方が多いようです。

10歳を超えると体が大人に近づいていくため、自律神経の異常による自家中毒の影響が少なくなる傾向にあります。

ただ、例外的に大人でも自家中毒になるケースがみられるということは覚えておきましょう。



ストレスに弱い子には注意

ストレスに弱い子、とひとくくりにしてしまうのは難しいのですが特定のストレス環境下で症状を発しやすい子というのはいます。

自家中毒を起こしやすい子の場合はストレス環境下に弱いため、行事などがあるとき・その後に自律神経が一時的に乱れてしまうことがよくあります。

内向的な子、ストレス性の病気を患ったことがある子、感情表現が苦手で自分の気持ちをうまく表現できない子などには注意が必要です。



自家中毒になったら安静に

自家中毒を引き起こしてしまったときには出来るだけ安静にして過ごしてください。

特に治療法はなく、嘔吐や下痢による脱水症状を防ぐのが一般的な対処方法です。

また、その他にストレスがかかわっている症状が出ていれば随時心理士などへの相談を行いましょう。



片頭痛の一種とされているのが子供の自家中毒で、下痢や嘔吐、腹痛を伴う病気です。

自分の気持ちをうまく表現できなかったり、内向的な子で2-10歳、痩せ型の子がかかりやすいと言われています。



Photo:http://www.ashinari.com/2012/07/22-365872.php




著者: カラダノート編集部


本記事は、2017-03-07掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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