■ 医師の3人に1人が燃え尽き症候群/米研究2018年3月17日










 多くの医師が燃え尽き症候群とひそかに戦っている可能性が高いことが、米クリーブランド・クリニックの臨床心理士であるAmy Windover氏らによる研究で示唆された。

 同クリニックの運営母体である、クリーブランド・クリニック・ヘルスシステムに勤務する1000人超の医師を対象に調査から、3人に1人が燃え尽き症候群の基準を満たしていることが分かったという。詳細は「JAMA Internal Medicine」2月19日オンライン版に掲載された。

 今回の研究の対象となったのは、同ヘルスシステムの医師のうち、燃え尽き症候群に関する調査への回答があった1145人(回答率75%)。燃え尽き症候群の有無や重症度は、Maslach Burnout Inventory(MBI)と呼ばれる尺度を用いて「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感」の3つの側面から評価した。

 その結果、399人(35%)が燃え尽き症候群の基準を満たしていた。また、燃え尽き状態をもたらす要素の一つである情緒的消耗感が認められる医師は、高い患者満足度を得ていたが、最終的に退職する可能性が高いことが明らかになった。



 一方、脱人格化の傾向が強くみられる医師は、患者から苦情を申し立てられる頻度が高いことも分かった。

 情緒的消耗感が認められる医師に対する患者の満足度は高かった、という結果について、Windover氏は「献身的な医師が、十分に機能していない医療システムの影響が患者に及ばないよう自らを犠牲にしていることを浮き彫りにしているようだ」と話す。

 また、今回の研究では患者の直接的な診療に多くの時間を費やす医師ほど、燃え尽き症候群になりやすいことも分かったが、この点については「毎回の診療に伴う事務的な作業の負担が大きいことが要因だと考えられる」と指摘している。
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