■ 線状皮膚炎



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虫による皮膚疾患(14)線状皮膚炎


アオバアリガタハネカクシという、聞きなれない虫による皮膚炎です。
蟻に似た、体長6,7mmの細長い外観で、橙と青黒いダンダラの縞模様なので、一度みたら忘れないと思います。青い鞘翅の中に飛ぶための羽を隠し持っているために「ハネカクシ」と呼ばれます。日本全国に分布していますが、暖かい地方に多いです。4月から10月頃まで活動しますが、6~8月の夜間の被害が多いです。
水田、畑、山間部の沼地や池の周辺、川岸などに生息し、灯火に飛来します。体液中にペデリンという毒液を含んでおり、つぶしたり、手で払いのけたりする際に皮膚に液が付着すると皮膚炎をおこします。その形が線状の紅斑、浮腫、水疱、膿疱になるために線状皮膚炎と呼ばれます。屋内でも被害にあいますが、夜間、自転車やバイクなどでの走行中に被害にあうこともあります。
触れてから数時間でひりひりした痛みを伴って、浮腫性の紅斑が出現し、2,3日後には膿疱となり数週後に色素沈着となって治癒します。
本州中部以北の山間部には「コアリガタハネカクシ」という体長10~12mmの大型で黒色をした虫が生息しており、山菜採りなどのあとに同様の被害にあうケースがあるとのことです。
付着したら、つぶしたり、強引に払いのけたりせず、そっと取り除き、水洗いします。
抗菌外用剤を塗布したり、ステロイド外用剤を塗布します。ただ、この皮膚炎に対してはステロイド剤の消炎効果はあまり期待できないそうです(夏秋)。夏秋先生の実験によると炎症反応は予想以上に強く、紅斑、鱗屑は2週間程続き、色素沈着は1年後にも残存したそうです。