■ 抗体

抗体(BCR)の定常部(Fc部)について述べる。Fcとは、Fragmebnt crystallizable(結晶化しやすい断片)の略であり、大した意味はない。可変部はFab(Fragment antigen binding)だから有意である。

抗原は、抗体の可変部と結合すると、もはや体細胞には結合できないから感染しなくなる。抗体が結合する相手が毒物であればそれを中和する。さらに抗体と結合した病原体は、マクロファージなどに貪食されやすくなる。(http://www.geocities.jp/asa_boke/lectr/lect_03_antiB_1.html>抗体http://www.geocities.jp/asa_boke/lectr/lect_20_phago.html>貪食)

T細胞のTCR(http://www.geocities.jp/asa_boke/lectr2/lect_105_TcrBcr.html>受容体)もFc部、Fab部からなるが、Fc部は細胞膜に固定するためだけのようである。

 B細胞(BCR)の場合、まず前回述べたように、定常部の違いにより、IgM、IgG、IgA、IgD、IgEの5種類の抗体となる。5種類の抗体については、それぞれの項目をご参照いただきたい(例http://www.geocities.jp/asa_boke/lectr/lect_07_IgG.html>IgG)。この定常部(Fc部)の役割は3つある。

1、 他の免疫細胞(マクロファージ、好中球など)がもつ受容体が抗体のFc部と結合することである。その結果、抗体(IgG)を介してマクロファージなどと、病原体とが結びつき、貪食作用を高める。抗体(IgE)と結びつくのはマスト細胞や好塩基球などであり、炎症反応を促進する。いずれも同じ病原体に対して作用するのである。

2、 病原体と結びついた抗体(IgM)のFc部は補体と結合する。活性化された補体はカスケード(増幅)現象により大量の補体が病原体に取り付き、貪食を促進する。(貪食_古典径路_2_補体



3、 抗体(IgM)のFc部は体組織末端に抗体自身を到達させる足となる。好中球の遊走のように、抗体(IgM)のFc部が接着分子となり、炎症部へ誘導される。粘液、涙液、乳汁に含まれるIgA、母親の持つIgGが胎児に移行するなどがその例である。