■ 色素性じんましん 肥満細胞腫 |
色素性じんましんは、乳幼児に多い良性の皮膚病です。ピークを過ぎれば徐々に薄くなり、小学校へ行くころにはほとんど気にならないくらいになりますが、今すぐ治す方法は切除しかありません。気長に治るのを待ってください。 色素性じんましんは、生まれつきまたは生後6ヵ月以内に出てくる、赤みを帯びた褐色の、わずかに盛り上がりのある斑状(はんじょう)のあざの一種です。別名、肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)、多発するものは肥満細胞症と言います。 じんましんと聞くと、虫刺されのような赤い膨疹(ぼうしん:皮膚が盛り上がった状態)が次々に出たり、引っ込んだり、移動したりという症状を想像しますが、普通のじんましんとは一切関係ありません。ただ、一見したところじんましんに似ていることからつけられた呼び名で、学術的には「肥満細胞腫」の方が正しいのです。 肥満細胞は、血液中や、皮膚の中に誰にでもあり、その細胞が集まって腫瘍(しゅよう)となっているものを肥満細胞腫と言うのです。 なぜこれができるのかはわかっていませんが、この肥満細胞という細胞は、ヒスタミンという化学物質をもっていて、こすったり、温めたりなどの刺激を受けると、ヒスタミンを放出します。ヒスタミンが一斉に出てくると、まわりの皮膚が膨らんで赤くはれたり、水疱(すいほう)ができます。それがちょうど、じんましんのように見えるために、「色素性じんましん」とも呼ばれています。 このとき、出てくるヒスタミンの量が多いと、血液中のヒスタミンの濃度が高まり、全身の皮膚が真っ赤になったり、発汗、発熱、ときには意識消失を起こすことさえあります。そのようなときは、抗ヒスタミン薬を飲むと治ります。 ご相談のように顔にある場合、ふだんはれていないときの褐色斑の色が気になるでしょうが、これも年齢とともに徐々に消えていくものです。すぐに消す方法は薬などではなく、外科的に切除するしかありませんが、それでは手術の傷あとが残ってしまいます。自然に治る予後のよい病気なので、ぜひ気長に待ってください。診断確定のために先生がこすってできた水疱も、1ヵ月もすれば治ると思われますので、心配ないでしょう。 |