■ 「赤ちゃんの血液型検査の中止のお知らせ」

ABO血液型は赤血球上に抗A抗原、血清中に抗Bを有するものをA型、赤血球上にB抗原、血清中に抗Aを有するものをB型、赤血球上にAおよびB抗原、血清中には抗体を欠くものをAB型、赤血球上にA,B抗原を欠き、血清中に抗Aおよび抗Bを有するものをO型いいます。

したがって、ABO血液型の判定には赤血球上のAおよびB抗原の存在を確認するオモテ試験と血清中の抗Aおよび抗Bの有無を確認するウラ試験を行い、双方の成績が一致して初めて判定されます。

しかし新生児(生まれたばかりの赤ちゃん)ではまだ抗体がつくられていないことに加え、お母さんから移行した抗体が反応することもあり、通常血清側(ウラ試験)をせず赤血球側(オモテ試験)だけ行います。が、赤ちゃんはA抗原やB抗原の量が少ない場合があり、血液型が正しく判定できない可能性があります。たとえばO型の結果であっても、本当はA型またはB型であったり、A型の結果であっても本当はAB型という場合があるのです。赤血球膜上のA抗原、B抗原の強さは、新生児では成人の3分の1程度で2〜4歳になって成人並みになるといわれています。よく“新生児の時に検査した血液型が、大人になって変わる”といわれるのは、新生児のときに赤血球側検査(オモテ試験)だけ行われた場合に、赤血球膜上のA抗原、B抗原が弱いために、前述の例のようにA型やB型の人がO型と判定される場合があるためで、本当に血液型が変わってしまうのではありません。

血液型の検査の時期ですが、生後6ヶ月頃に抗体が産生され始め、1歳頃には全ての児に抗体が産生されるといわれています。3歳頃になって赤血球膜上のA抗原、B抗原の強さが成人と同じくらいになってきます。従って、正確な血液型の判定は、早くても4歳以上、個人差を考慮すると小学生以後が望ましいと思われます。