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ここは、ニュータウンにある病院。いつも病気と戦うドクターと看護婦さん、そしてドクターを手伝う助手くんがいます。
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そこに、ベビーランドからSOSの電話がかかってきました。 赤ちゃんが、高い熱で苦しんでいるのです。ドクターは、急いでベビーランドへと向かいます。
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助手くんは、救急ボックスを手にすると、看護婦さんとドクターの車に乗り込みました。
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この救急ボックスの中には、悪い病気の原因となる病原菌たちと戦う、強い味方が入っているのです。 ペニシリンのパワーを持つビクちゃん。セフェムのパワーを持つメイちゃん。そして、それを助ける仲間のマクロくんとホスホくんです。
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ドクターたちが患者さんの家に着くと、真っ赤な顔で苦しんでいる赤ちゃんがいます。
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ドクターが虫メガネで赤ちゃんの喉の奥を見てみると、いました、いました、病原菌。
『あ、これは肺炎を起こす恐ろしいキューキンだ!』
お母さんは、それを聞いて青くなりました。
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ドクターは、救急ボックスのふたを開けると、お母さんに言いました。
『大丈夫ですよ、お母さん。さぁ、ビクちゃん頼んだよ!』
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すると、救急ボックスの中から小さな戦士のビクちゃんが飛び出しました。
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ビクちゃんは、体をもっともっと小さくすると、赤ちゃんの喉の奥へ入っていきました。 ドクターとお母さんが、虫メガネで覗いてみると、ビクちゃんがキューキンと戦っています。
『がんばれ、ビクちゃん!』
お母さんは、思わず叫んでいました。 ビクちゃんがペニシリン銃を発射すると、キューキンは体が溶けて消えてしまいました。
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ビクちゃんの勝利です。
元気になった赤ちゃんの横で、お母さんは、ほっと胸をなでおろしました。
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ドクターがほっとしたのもつかの間。 助手くんの電話が鳴りました。 また、別の患者さんからのSOSの電話です。
ドクターたちは、次のお家へと急ぎます。
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患者さんの家では、やはり赤ちゃんが苦しんでいます。 ドクターは、また虫メガネで赤ちゃんの喉の奥を覗いてみました。
いました、いました、またもやキューキンです。
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ドクターは、救急ボックスのふたを開けて、ビクちゃんを呼びました。
『また、キューキンが暴れている。ビクちゃん、頼んだよ!』
ビクちゃんは、体を小さく小さくすると、赤ちゃんの喉の奥へ飛び込みまし た。
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心配するお母さんとドクターは、虫メガネで覗いてみました。 すると、ビクちゃんが苦戦しています。 ペニシリン銃の攻撃を受けるたびに、なんとキューキンの体が大きくなって いくのです。 ドクターは、驚きました。
『これは、ペニシリン耐性肺炎球菌のPRSPだ!』
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お母さんは、青い顔をしてドクターに聞きました。
『ドクター。そのPRSPというのは何ですか?』
すると、助手くんがお母さんに言いました。
『それは、抗生物質によって変異した耐性菌です。』
今度は、看護婦さんがこう言いました。
『中耳炎や肺炎の原因は、肺炎球菌という人がもともと身体の中に持ってい る細菌のことで、健康な人なら免疫力のおかげで、その菌が増殖したりし ないんですよ。』
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すると今度は、ドクターが言いました。
『しかし、菌は自分に被害を及ぼすモノに対して、変異、進化するんです。 つまり、抗生物質を沢山使いすぎると、それに対する抵抗力を持つように進化してしまうのです。 それを耐性菌といい、どんな抗生物質も効かなくなってしまう恐ろしいものなのです。』
お母さんは、青い顔を、さらに青くして言いました。
『じゃぁ、ビクちゃんでは勝てないんですか?』
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ドクターは、救急ボックスを指差し、言いました。
『大丈夫!次はセフェムのパワーを持ったメイちゃんの番だ!メイちゃん、 頼んだよ!』
すると、救急ボックスの中からメイちゃんが飛び出しました。
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メイちゃんは、小さく小さくなって、赤ちゃんの喉の奥に飛び込みます。
そして、ビクちゃんとバトンタッチすると、セフェム銃を発射しました。
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セフェム銃の攻撃に、大きくなったキューキンは溶けて消えてしまいました。
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赤ちゃんは、みるみる元気を取り戻しました。 お母さんは、大喜び! ドクターや看護婦さん、助手くん、そしてビクちゃん、メイちゃんに何度も 何度もお礼を言いました。
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ドクターは、お母さんに言いました。
『昔は、ビクちゃんの攻撃で、肺炎球菌のペニシリン結合タンパク質の働きを抑え、細胞膜を作らなくして菌をバラバラにすることができました。 しかし、最近はその攻撃が効かなくなっているのです。』 お母さんは不安そうに言いました。 『どんどん強くなってきているんですか?』 ドクターは、顔を曇らせると、こう言いました。 『そうです。抗生物質に頼りすぎるというのは、恐ろしい病原菌を強くしてしまうことにつながるのです。 しかし、私達は新しいパワーを手に入れ、戦い続けます。 ずっと、これからも・・・。』
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