■ 流暢な英語と教養は両立していない2017 6  23

ー藤原正彦ー


なぜなら「日本人にとって英語をものにするには多くの場合若いころの読書を犠牲にしなければならない」から。
東京都の小池知事がやたら会見でカタカナ英語を使う態度に苦言を呈しています


優越感がしみだしてきています。お気をつけください  小池知事殿


 ☆常に目的は、「都民ファースト(first:第一優先)」の都政の構築にあります。

 ☆「ワイズ・スペンディング(wise spending:賢い支出≒賢いお金の使い方)」という言葉がありますが、豊かな税収を背景に、税金の有効活用の観点が損なわれることがあってはなりません。

 ☆日本の成長のエンジン(engine:原動機≒原動力)として世界の中でも輝き続けるサステイナブル(sustainable:存続・持続・成長可能な)、持続可能な首都・東京を創り上げることであります。そのためにも、「セーフシティ(safe city:安全都市)」「ダイバーシティ(diversity:多様性≒多様性受容社会)」「スマートシティ(smart city:環境配慮型都市)」の3つのシティ(city:都市 ※diversityはdi+verse+tyが語源で発音は同じだが、cityではない)を実現し、東京の課題解決と成長創出に取り組んでまいります。

 ☆2020年の大会は単なる1964アゲイン(again:再現≒夢よもう一度)ではなく、成熟都市であり、世界の最先端都市である「TOKYO」を世界にアピールする大会にしなければなりません。

 ☆ハード(hardware:設備・施設)面のレガシー(legacy:遺産≒物理的な遺産)だけでなく、ソフト(software:規則・運用)面のレガシー(legacy:遺産≒技術的・文化的な遺産)を構築いたします。

 ☆たとえば、フィンテック(fintech:情報通信技術を使った新たな金融サービス)分野をはじめとする海外の金融系企業を誘致するため

 ★片仮名ばかり並べて申し訳ないのですが、企業で言うところのコンプライアンス(compliance:法令順守≒法律や倫理に則った企業活動)です。ということで、だから内部統制(従業員や会社の資産の管理統制)であるとかガバナンス(governance:統治≒経営の管理統制)、誰が管理をして、誰が決定をして・・・【※これは「企業(corporate)で言うところ」に続く文脈なので、「内部統制であるとかガバナンス」は、コーポレートガバナンス(経営の管理統制)・内部統制(従業員や会社の資産の管理統制)をいう】

 ★手が下がりつつあって、もうウイズドロウ(withdraw:手を引っ込める)してしまっている。

 ★先ほど私が、ホイッスルブロワー(whistle-blower:警笛を吹く人≒不正行為の内部通報者)の話をさせていただいわけでございまして、匿名、実名を問わず

 カタカナ語が埋め込まれた「前後の文脈」から難解な経営英語を私訳したのだが、もしかすると、これはカタカナ語を多用して記者の質問を「煙に巻く(to create a smokescreen)」政治的手法なのかもしれない。英語はもとより、アラビア語にも堪能な小池都知事は、「頭がよい」を意味する英語、スマート(smart:頭のよさ・小利口)、クレバー(clever:頭が切れる・聡明)、ワイズ(wise:知的な賢さ・博識)でいえば、スマート&クレバーだが、「都民ファースト」を目指す語彙力はまだワイズの域まで到達していない。

 ところで、まど・みちおの詩、『がいらいごじてん』は当意即妙の「ひらがな語」訳で、実に味がある。

 ◆ファッション=はっくしょん/ア ラ モード=あら どうも/ミニ スカート=目に すかっと/ピックルス=びっくり酢/マロン グラッセ=まるう おまっせ/トイレ=はいれ/ボクシング=ぼく しんど

 小池都知事の新造語、ライフ・ワーク・バランス(life-work-balance:生活と人生の調和)を「ひらがな語」にしてみる。◆ライフ・ワーク・バランス=あーした 天気に なあれ

 おあとがよろしいようで……。

【プロフィール】
 原山 建郎(はらやま たつろう) 
 出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員

 1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、且蝠wの友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984〜1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996〜1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。