■ ゾフルーザもインフル予防での使用が可能に 耐性ウイルス出現への懸念から体重20kg未満の小児では承認見送り 2020/12/11















 2020年11月27日、抗インフルエンザ薬のゾフルーザ(一般名バロキサビル マルボキシル)の適応追加申請が承認され、これまでの「A型またはB型インフルエンザ感染症の治療」に加え、「A型またはB型インフルエンザ感染症のインフルエンザの予防」にも使用できるようになった。この適応拡大は即日適用され、既に添付文書も改訂されている。

 抗インフルエンザ薬の予防投与は、これまでザナミビル(商品名リレンザ)、オセルタミビル(タミフル他)、ラニナミビル(イナビル)で認められており、今回のゾフルーザの承認で4成分目。いずれも保険給付の対象ではなく、自由診療でのみ処方できる。

 なお、他疾患で保険診療中の患者にこれらの抗インフルエンザ薬を予防投与しても混合診療には当たらないが、予防薬の処方箋は他の保険診療の処方箋とは別にする必要がある。







 今回の適応拡大で予防投与が認められたのは、ゾフルーザの3規格のうち、ゾフルーザ錠20mg、同顆粒2%分包のみで、同錠10mgは対象外。予防投与における用量は治療時と同じで、例えば体重80kg未満の成人では20mg錠2錠を単回経口投与する。

 ただし、12歳未満で体重10kg以上20kg未満の小児には、治療目的であれば投与可能だが、予防投与については今回認められなかった。これは、ゾフルーザを服用した小児において、低感受性アミノ酸変異ウイルスの出現頻度が比較的高いことが報告されているため。実際、昨シーズンに公表された日本小児科学会の治療指針でも、薬剤耐性ウイルスの出現が認められることから、12歳未満の小児患者にはゾフルーザの積極的な投与を推奨していない(関連記事)。

 今回の適応拡大にあたっては、体重20kg未満の小児への予防投与についても承認申請されていたが、医薬品医療機器総合機構(PMDA)での審査の過程で耐性ウイルスの出現を懸念する意見があり、承認が見送られた。