■ 粽(ちまき)の由来2010.5.5

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本来、端午の節句には粽を食べますが、これは中国の故事に由来します。

今からおよそ2300年前の中国に、屈原(くつげん)という詩人がおりました。有能な政治家でもあった屈原は国王の側近として仕え、その正義感と国を思う強さで人々から大変慕われていましたが、陰謀によって失脚し、国を追われてしまいます。

その時の思いを綴った「離騒(りそう)」という長編叙事詩が中国文学の名作となりますが、国の行く末に失望した屈原は、汨羅(べきら)という川に身を投げてしまったそうです。その日が5月5日です。

人々は屈原の死を悲しみ、命日になると供物を投げて供養しましたが、せっかくの供物も屈原のもとに届く前に悪い龍に盗まれてしまいます。そこで、龍が苦手にしている楝樹(れんじゅ。ほかに茅、笹などの説もあります)の葉でもち米を包み、邪気を払う五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛ってから川へ投げたところ、無事に屈原のもとへ届くようになったそうです。


鯉のぼりの吹き流しも、本来は五色です。
これが粽の始まりで、5月5日に粽を作って災いを除ける風習が日本に伝来しました。また、粽に結んだ赤・青・黄・白・黒の五色の糸は、子供が無事に育つようにとの魔よけの意味を込め、鯉のぼりの吹流しの色に反映されています。


柏餅の由来

柏餅にも蓬餅、粒あん、こしあん、味噌あんなど様々な種類がありますね〜♪(画像提供:季節の手づくり和菓子処【菓宗庵】)
粽が中国伝来なのに対し、柏餅は日本独特のもので、江戸時代に江戸でうまれました。柏餅を包む柏は昔から神聖な木とされていたことや、新芽が出ないと古い葉が落ちないため「子供が生まれるまでは親は死なない」、すなわち「跡継ぎが途絶えない」「子孫繁栄」に結びつき、端午の節句の縁起のいい食べ物となりました。

ちなみに、柏の葉を外表に巻いているものと、中表(裏を外向け)に巻いているものがありますが、これは小豆あんのときは外表に、味噌あんなら中表に巻くなど、中身の違いを表しています。

また、蓬餅(よもぎもち)の蓬は昔から邪気祓いに用いられており、「端午の節句」は菖蒲や蓬で邪気祓いをする行事。邪気は香りの強いものに弱いのです。


このようにそれぞれの由来をもつ粽と柏餅ですが、江戸文化を反映して全国に広がった柏餅に対し、伝統を重んじる京文化圏では粽が伝承され、今でも関東では柏餅、関西では粽が親しまれています。



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