■ . 侵入者アリ!戦闘準備セヨ2013.7.29

陳佳奈 (ちん・かな)さんというパワフルな人がわかりやすく免疫のことを書かれていました


http://apital.asahi.com/article/chinkana/2013072700002.html







自分自身の細胞は「MHCクラス1」というマークを記名代わり利用している。そして細胞がウイルスに乗っ取られるとウイルスの一部をMHCクラス1と一緒に掲げ、ナチュラルキラー(NK)細胞かキラーTリンパ球に殺してもらうのだ。(詳しくは「18.自分を犠牲にする健気なあの子」参照。)
では外部から侵入して悪さをする異物に対してはどう対抗すればいいのだろう。例えば細菌は、ウイルスと違って細胞を乗っ取ること無く私たちを攻撃してくる。少数であればNK細胞が異物と認識して殺すことも可能だが、大量に侵入して来た場合はもっと効率的に攻撃してくれるチームが必要だ。
こうした細胞外の侵入者に対して使われるのが「MHCクラス2」システムだ。
MHCクラス2を持つのはある特定の役割を持った細胞のみ。体を守るための免疫に関わっている細胞たちだ。
異物侵入から攻撃までの流れはこんな感じ。
まず、体内に細菌などの異物が侵入してくる。すると、マクロファージや樹状細胞という異物を食べて排除する細胞たちがやって来てパクッと食べる。これらの細胞は異物を細かく噛み砕き、その破片をMHCクラス2とともに細胞外に掲げる。そのままリンパ節や脾臓など、多くの戦士が待機する場所に行く。それを見た戦士達(Tリンパ細胞やBリンパ細胞)は異物に合わせた武器や作戦を用意し、異物退治に向かう。
MHCクラス1+異物が「乗っ取られたから私を殺して!」というサインなのに対し、MHCクラス2+異物は「侵入者あり!戦闘準備せよ。」という出陣の合図になるのだ。
この合図をきっかけに体を守るために必要なシグナルが出され、戦士が増員されて異物への攻撃を開始する。武器制作が得意なBリンパ球もこの合図をきっかけに侵入者に合わせた武器作りに励む。
この2つのシステムにより細胞乗っ取り型のウイルスからも、細胞外攻撃型の細菌からも身を守ることが出来るんだ。
もし君が健康なら、今日も一生懸命働いてくれている免疫細胞達に感謝してみてほしい。


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