8.くすりについて(当院からの情報)
3.抗生物質のはたらき
抗生物質のはたらき1 細胞壁合成阻害薬

抗生物質はどのようにして病原菌にはたらき、効果をあらわすのでしょうか。 それを知るにはまず病原菌、とくに細菌の構造を知っておく必要があります。 細菌と人間の細胞がもっとも異なる点は、細菌には細胞壁という細胞を取り囲む壁があることです。 この細胞壁によって、細菌はその形を保つことができているのです。 多くの抗生物質は、細菌がこの細胞壁をちゃんと作ることができなくするようにする結果、細胞壁が壊れて細菌を死に追いやります。 一方、人間の細胞には細胞壁がありませんから、抗生物質が直接人間の細胞を壊すことはありません。 このようなはたらきをする抗生物質を細胞壁合成阻害薬といいβラクタム系、グリコペプチド系、ホスホマイシンなどの抗生物質が含まれます。

抗生物質のはたらき 2 タンパク質合成阻害薬

細菌の細胞壁を壊すことによって細菌を死滅させるはたらきのある抗生物質(細胞壁合成阻害薬)のほかに、タンパク質合成阻害薬としてテトラサイクリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、クロラムフェニコール、リネゾリドなどの抗生物質があります。 これらは細菌の体の細胞質という部分に含まれるリボゾームというところにはたらいて効果を発揮します。細菌も生き物ですからタンパク質を作り出すことが生きるためにどうしても必要です。 リボゾームはいわばタンパク質の製造工場にあたるところですので、ここの働きを止めてしまうとタンパク質が作れなくなり細胞はこわれてしまいます。 もちろん人の細胞にもリボゾームがありますが、少し構造が違うため、人の細胞のリボゾームは抗生物質の影響を受けないので、人のタンパク質の合成には支障はありません。
抗生物質のはたらき 3 核酸合成阻害薬

キノロン系 サルファ剤 リファンピシンなどの抗生物質は核酸合成阻害薬 といわれ、細胞の核酸がつくられないようにはたらきます。 核酸にはDNAとRNAの2種類があり,細胞の中の核という部分で合成を繰り返しています。 これらの核酸は、細胞が作り出すすべてのタンパク質の情報をもっていて、この情報をもとに核酸は次から次へタンパク質を作り出し、細胞の増殖と生命の維持に関わっています。 キノロン系抗生剤はDNAの合成を、リファンピシンはRNAの合成を止めることによって 細菌の増殖を抑えます。また、サルファ剤はヌクレオチドという核酸の成分を合成するのに必要な葉酸の合成を止めることによって効果をあらわします。 (ここにくると何だか難しくなってきます)
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