B型肝炎の最近の傾向

B型肝炎ウイルスには、A〜Fまでの6つのサブタイプがあり、国や地域によって分布が異なって います。日本を含むアジアはBとC、欧米はA・D・F、アフリカはA・E・Dが主流です。 最近、日本では、欧米で多い遺伝子型AのB型肝炎ウイルスが広がりつつあることです。これは、 母子感染ではなくて、性交渉で感染しているのが原因です。この遺伝子型AのB型肝炎ウイルスは 急性肝炎の後、10%程度慢性化し肝癌の発生につながりますので、B型肝炎の治療方針を決めると きには、B型肝炎のタイプ別を見極めることがとても大切であります。そして、病気の進行とともに タイミングを逃さず、抗ウイルス薬を、投与することがとても重要です。

E型肝炎

E型肝炎は、A型肝炎がカキなどの魚介類によって感染するのに対し、ブタやイノシシなどの動物の肉や内臓を食べたことが原因で起こる肝炎です。 E型肝炎は、A・B・C型肝炎と比較して多くありませんが、ここ数年増えてきているのが目立ちます。 以前はE型肝炎は輸入感染症と考えられていましたが、最近のE型肝炎は国内で感染したのだろうと思われるケースが 増えてきています。E型肝炎の症状は、他のウイルス性肝炎と同じような症状ですので、診断するためには生肉の 摂取暦を確認することがとても大切です。また、海外渡航暦も確認することが必要です。注意すべきは、 患者が生肉を食べていなくても、焼いた肉が良く焼けていなかったり、生肉をつまんだはしを使って 焼肉を食べたりしたことが原因になった可能性もあります。E型肝炎の診断はHEV遺伝子と 血清HEV−IgM抗体を検査すことによって診断できます。

Fordyce斑

頬粘膜や口唇部に好発する異所性脂腺。 1〜2ミリの白黄色丘疹が集まる。 病的なものではないが消失はしない。

Carnett sign

腹痛の原因が腹壁にあるのか腹腔内にあるのかを鑑別する手技。 患者を仰臥位にして両腕を交叉させる。 最強圧痛点に手を置いたまま患者を起き上がらせる。 痛みが増せば腹壁に、痛みが減弱すれば腹腔内に起因する。

CVA(costovertebal angke)叩打

腎盂炎や尿管結石で陽性になるが、手技に注意。 最初は手指による圧診。次に手掌の上からの叩打。最後に直接叩打。 他の臓器の炎症所見を拾う可能性があるため。

QFT検査とは

 結核菌に感染すると、体内のTリンパ球(T細胞)はこれを記憶し、再び結核菌あるいはそれと同様な抗原が侵入した際、その反応として、「IFN-γ」という物質を産生します。  結核感染の診断はこの性質を利用し、刺激抗原(ツベルクリン反応の場合はPPD、QFTの場合はESAT-6とCFP-10)を投与、あるいは添加し、IFN-γの産生の有無により、感染しているかどうかを診断します。  QFTで使用する刺激抗原ESAT-6・CFP-10はツベルクリン反応検査で使用する刺激抗原PPDと比べ、BCGの影響を受けないため※、正確な判定ができるのがQFTの特長。その上、皮膚の反応を測定して診断するツベルクリン反応検査が、再度医療機関を訪れる必要があるのに対し、QFTは試験管内で検査できるため、その必要がないなど、受診者にも負担の少ない検査です。  実際の検査の行程は全2日間。採血した全血検体に刺激抗原を添加して一晩培養し、翌日、IFN-γを定量分析。刺激抗原に対する細胞性免疫反応の有無や強度により、結核の感染の有無を判定します。

※ツベルクリン検査で使用する、結核菌の抗原である精製ツベルクリンPPD(Tuberculin Purified Protein Derivative)は、BCGワクチンのアミノ酸配列との類似性が高い。そのため、BCG接種が一般的である日本では、結核菌に感染していなくても陽性(偽陽性)と判定される確率が高く、診断上、紛らわしいという問題点がある。

(ちば県民保健予防財団  のHPから)・・・・・http://www.kenko-chiba.or.jp/03kensa/01qft.htm

漏斗胸

漏斗胸みたらアデノを考えよ

慢性の閉塞性呼吸器障害が原因になっている可能性がある。 いびきや夜間の無呼吸の有無を確かめること。

psoas sign
heel drop larring sign

いづれも虫垂炎の腹膜刺激症状を表すsignです

アナフィラキシーの治療

全身の蕁麻疹にABCDが加わればエピネフリン投与を考慮すべき
「すぐにステロイド投与」は古い

A:airway    喉頭浮腫
B:breathing   喘息
C:circulation  ショック
D:diarrhea   下痢腹痛

治療はABCDEF
A:aiway         気道確保
B:breathing       酸素投与
C:circulation      下肢挙上 保温  点滴確保
D:decontamination  起因物質の除去
E:epinephrin      大人0.3ml(0.3mg)筋注 臀部 5分間隔  静注の場合は10倍0.1ml5分間隔
F:fuluid         生食 あるいはリンゲル  (ソリタは駄目)

ステロイドはそれから

アスピリン喘息

 アスピリン喘息というのは本来、アスピリン(NSAID不耐症)と呼ぶべきです。
(不耐症とは、アレルギー的ではない機序に基づく過敏症状に対して用いる)
 NSAID不耐症とNSAIDアレルギーは異なるもので、 NSAID不耐症はプロスタグランディン合成酵素であるシクロオキシナーゼの阻害作用を持つすべてのNSAIDに対する過敏症状を指します。 一方、NSAIDアレルギーは、単独のNSAIDにのみアレルギー症状が誘発されるケースをいいます。
 NSAID不耐症には気道型と皮膚型があります。 気道型は気管支喘息が基礎疾患としてあり、NSAIDで喘息発作と鼻症状が誘発されるものです。また、皮膚型は慢性蕁麻疹が基礎にあり、蕁麻疹がNSAIDによって誘発されるものです。
 NSAID過敏性喘息は、思春期以降に発症されることが多いもので、それまで気管支喘息の既往がなく、あるときからNSAIDに対して気管支喘息になります。 NSAID過敏喘息の患者は、ほとんど好酸球性鼻茸副鼻腔炎を合併しています。そしてその結果、嗅覚低下を伴う点が特徴です。  NSAIDを診断するには、
@NSAID服用1時間以内の発作出現
A鼻水、鼻づまりなどの鼻症状を伴うこと
B中等度以上の発作
の3点が大事です。  NSAID過敏症の起こる原因は、NSAIDによってCOX1が抑制され、それによって、逆にシスティニルロイコトリエンが過剰に生産され、その結果気管支喘息が起こると考えられています。その部位としては、副鼻腔が重要であると思われています。
 このような、NSAID不耐症の患者が発熱、あるいは痛みを訴えたときの対応は気をつけなければなりません。NSAIDを投与することはもちろんだめですが、座薬、注射薬、内服薬のみならず、貼り薬や塗り薬また、点眼薬もNSAIDを含んだものは、禁忌になります。具体的には、頭を氷で冷やすことが中心になりますが、アセトアミノフェンの少量投与は可能だと考えられています。
 喘息発作を起こしたときは、ステロイドの急速静注は絶対に避けるべきであります。 なるべくリン酸エステル型ステロイド(ハイドロコートン、リンデロン、デカドロン)などを用い、1時間以上かけてゆっくり点滴投与します。また、エピネフリンの筋注が第1選択です。ステロイドはコハク酸エステル型ステロイド(サクシゾン、ソルコーテフ、ソル・メドロール、水溶性プレドニン)は使用してはいけません。
(医事新報 19年 8月号から )

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